甘美な略奪

十一歳のとき、ローンは見知らぬ少年が倒れているのを見つけ、介抱しようとした。
ところが、戦で殺気立っていた仲間たちは助けるどころか少年に怒りの矛先を向け、なぶり殺しにした。
やがて、漆黒の髪のたくましい青年が馬を駆って現れた。
男の名はイアン・モンロー。
少年の兄だった。
弟の亡骸を見ると、彼は呪詛の言葉を吐いて立ち去った……。
それから七年の歳月が流れたある夜のこと。
ローンは夜道でいきなり頭から袋をかぶせられ、何者かによって拉致された。
意識を失いかけたとき、目の前にはイアン・モンローの姿があった。
まさか、本当にジェフがこの町に戻ってきたのかしら? フラワー・ショップを経営するジリーはわが目を疑った。
ハンサムで富豪の一家の出であるジェフは、これまでにも華やかな女性たちとのデートをくり返してきた。
ジリーは子供のころから彼に憧れていたものの、身分違いの恋と諦め、二人はずっと親友としてつき合ってきたのだ。
数年前、彼は町を出ていったが、今やすっかり大人の男性となり、セクシーなほほえみをジリーに向けている。
だが、高鳴る胸を押さえながらジリーは自分をいましめた。
だめよ。
私には、親友のジェフにさえ話せない秘密があるのだから。
ベスの背後でコテージのドアが小さな音をたてて閉まった。
彼女は一瞬凍りついた。
ばね式の錠がかかったのだ。
飼い犬につられてうっかり外に出たために、パジャマ姿で夜の暗闇のなかに締めだされてしまった。
ベスは建築士として働いていたが、このところ重なる悲運に見舞われ、休養のために田舎のコテージを借りて、今日着いたばかりだった。
困り果てた彼女はたまたま通りかかった車を止め、助けを求める。
運転していたトラビスという長身のたくましい男性は、彼の所有する近くの別荘に来てひと晩過ごせばいいと言う。
極度の男性不信に陥っているベスには、とんでもない話だったが……。
自らが経営する画材店に入ってきたジャックを見て、キャロラインは愕然とした。
彼とは先ほど十七年ぶりに再会し、気まずく別れたばかりだった。
実業家として大成功を収めた彼が、なぜ故郷の町に、さらに彼女の店にやってきたのか、キャロラインは不思議でたまらなかった。
それでも、変わらぬ魅力を放つ彼の姿に胸がときめく。
できるなら、もう一度あなたと……。
なにをばかなことを言ってるの! 彼がまた愛してくれるはずはない。
彼にとって私は許されざる過ちを犯した罪人なのだから。
秘書として働くメルリーナにとってボスのジェイクほど心惹かれる男性はいなかった。
難点は、彼が恋をゲームのように楽しむプレイボーイだということ。
結婚して堅実な家庭を築くことを夢見る彼女にはふさわしくない。
そんなある日、メルリーナはジェイクに大仕事をまかされた。
彼の祖父の誕生日に巨大なケーキを用意して、中から祖父好みのセクシーな女性を登場させてほしいというのだ。
私を秘書としか見ていないジェイクを驚嘆させたい。
そう願うメルリーナには絶好のチャンスだった。
彼女はひそかにジェイクの度肝を抜くような計画を立てはじめた。
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